東芝<
6502>は29日、充電できるリチウムイオン電池(二次電池)を量産する柏崎工場を2011年2月に生産開始すると発表。
量産される二次電池 SCiBは、東芝が独自開発したリチウムイオン電池の一種。充放電6000回以上と長寿命、5分間で急速充電でき、−30度でも使用できる低温性能などの特徴がある。
この他、独自の酸化物系新材料の採用により、ショート(内部短絡)を起こしにくく、強制的にショートさせても熱暴走を起こさず、安全性も高い。
柏崎工場では、2011年2月時点で電気自動車、家庭電源で充電するプラグインハイブリッド自動車用の高容量タイプを、2011年度中には高出力タイプのハイブリッド自動車向けを生産する。
当初は、月産50万セルで量産開始、2011年度中には100万セルに拡大、量産への設備投資は累計250億円という。
東芝は、2004年にリチウムイオン電池事業から撤退するも、研究は続け、2007年に高速充電が可能なSCiBを発表し、再び参入。2009年から独フォルクスワーゲンと、自動車用で共同開発へ。
SCiBは、充放電が早いため、検査工程では通常のリチウムイオン電池の1/3で済み、コスト削減にもつながるという。リチウムイオン電池を搭載する車が増えれば、2桁以上の利益率は出せるという。
リチウムイオン電池は始め、ノートパソコンや携帯電話などで普及。現在では、省エネを背景にハイブリッド車、発電設備、無停電電源装置、次世代電力網のスマートグリッドと用途が広がり、市場が拡大すると見られている。
現在、リチウムイオン電池では、三洋電機が世界最大手。その他、NEC、日立製作所など大手も参入、後発の東芝の市場シェアはほとんどない。優れた性能を持つSCiBで、シェア拡大を目指す。