昭和電工<
4004>は28日、消費電力が少なく、次世代照明で利用が見込まれる有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)の発光効率を従来の2倍に高める技術を開発。
開発された有機EL素子は、従来の構造の中に光の反射を調節する層(誘電体層)を導入。素子の中に閉じ込められる光を減少、光の取り出し効率を向上させ発光効率を引き上げた。
従来は、素子内で発生する光のうち20%が利用可能だったが、これが、40%まで取り出せ、世界最高水準の1ワット当たり30ルーメン(30lm/W)の光が得られる。
誘電体層は、放熱性にも優れており、熱劣化を防ぐことから、素子の長寿命化にもつながり、現状の白色の輝度半減寿命も約1万時間に引き上げた。
開発された素子は、塗布りん光型素子。現在、量産化が進む蒸着型素子では、製造段階で真空状態が必要だったが、塗布型ではその必要がなく、発光パネルの大面積化、コストダウンにも期待。
また、りん光型は、現在普及する蛍光型に比べ、理論上は4倍の発光効率が得られる点も今後期待されている。
2010年に照明市場向けにサンプル販売、2015年までに、発光効率150lm/W、白色の輝度半減寿命5万時間を目指す。
発光効率を引き上げることは、明るさが増すだけではなく、少ない消費電力で同じ明るさが得られることも意味しており、大幅な省エネ化にもつながる。
現在、発光ダイオードを利用したLED照明が販売されているが、消費電力は白色電球の1/7〜1/10。ただ、点の集まりのため、電球まで。
一方、有機ELは、面発光なため、照明の代用など様々な分野で利用でき、2010年には商品化され、省エネ効果から広く普及すると見られている。