伊藤忠商事<
8001>は28日、モンゴルでの建機取引で架空取引が行われ、過去8年間に計上した架空の売上高が累計941億円、売上総利益では累計44億円にのぼり、2004年3月期以降の決算を訂正すると発表。
伊藤忠は、1999年からロシア製のブルドーザーなどの建機を仕入れ、モンゴルの資源会社などへ販売する取引を開始。翌年には、資源会社による支払いが困難になったという。
延滞債権の発生を避け、資源会社との取引拡大を狙い、すでに懲戒解雇された元課長とウランバートル事務所の元従業員による不正取引が行われる。
架空取引は、伊藤忠が商品の売買代金として支払った資金が、モンゴルの資源会社に迂回し、運転資金や伊藤忠への支払い代金に流用するというもの。その後も、モンゴルの資源会社の資金繰りが改善されず、長期にわたる不正取引が続くことに。
2008年10月に、支払いの遅延が起こったため不正が発覚。2000年以降、大半の取引で商品の受け渡しはなく、900億円を超す架空取引が行われていた。
2008年10月以降の調査で、モンゴルの資源会社以外のモンゴル企業との架空取引413億円も見つかり、現時点の債務残高は合計231億円。
2009年3月期第2四半期の決算で108億円を貸倒引当金として計上。三国間取引における架空取引で、関係した社員およそ10人は、自宅謹慎などの処分。金額もさることながら、8年間という長期的にわたり行われた架空取引だけに、企業へのダメージは計り知れない。