伊藤ハム<
2284>は25日、千葉県柏市にある東京工場で使用する井戸水から基準値を超える有害なシアン化物などを検出、26品目 225万パックを自主回収すると発表。回収費用はおよそ3億円を見込む。
会見では、問題のない井戸を使うことにより、該当商品と同種類の商品を生産、従来通り製造を継続する方針を明らかに。
シアン化物が検出されたのは、使用する3つの井戸のうちの2つ。1リットルあたり0.02〜0.03mgのシアン化物イオンと塩化シアンを検出。
9月24日以降に検出しており、再検査でも基準を超えており、10月15日から問題の井戸の使用を中止したという。
シアン化物イオンが、何かと結びつき化合物となった場合、どの部分にどのように結合するかにより性質はことなるものの、一般的に人体に有害なものになる。
ただ、工業的には、シアン化ナトリウムは樹脂、医薬品、農薬の合成材料、安定剤として利用され、シアン化カリウムは、小説や殺人事件で馴染みのある青酸カリ。
発見されたもう一つの成分 塩化シアンは、シアン化塩素のことで、シアン化水素と同等に猛毒。いずれも、基準値よりは高いものの、健康被害が報告されるレベルではない。
スーパー各社は、該当商品の撤去を進めている。伊藤ハム側は、製造を続ける方針だが、この一件による消費者の反応は厳しいと予想されるだけに、仕入れを継続するかどうかは小売店側の判断でわかれることになる。
ハムといえば、お歳暮では定番の商品だけに、年末商戦は厳しいものになりそうだ。