日本テレビ放送網<
9404>は、芸能プロダクションのアミューズ<
4301>と連携、地上波で流したドラマをインターネットで配信する。
11月1〜9日に、サザンオールスターズの楽曲をテーマに制作した約10分の短編ドラマ 「the 波乗りレストラン」(33作品)を地上波で放送。この中から10作品を放送翌日、携帯電話の日テレサイトなどで11月中旬まで有料配信。
地上波ドラマのネット配信は、12月にはNHKが連続ドラマなどを翌日に配信するサービスを開始。NHKは、人気ドラマなど20番組を放送翌日から最大10日間配信、過去の人気番組も約1000作品提供。こちらはテレビ、パソコン向けのサービス。
ネット配信が進まない背景には、配信する権利上の問題があり、版権があるものに対して、その許可が必要。版権が様々なものに関わっているだけに複雑、ネット配信の壁となっていた。
日テレはアミューズと連携することで、アミューズ所属の楽曲をテーマにドラマを制作、出演俳優もミューズ中心にしたことで、ネット配信の権利を処理しやすくすることで実現した。制作した番組を多方面に活用することで、落ち込んだCM収入を補うのが目的という。
アミューズは、元々ミュージシャンやアイドルなどを手掛けていたプロダクション。1990年代から俳優、女優部門に力を入れ、現在、ドラマ・映画などに主役級の俳優、女優を送り込むまでに成長。所属俳優には、福山雅治、三宅祐司、岸谷五郎など、女優では深津絵里、富田靖子などがいる。
国内でも光通信をドラマ、映画のレンタルサービスはあるが、韓国では、すでに盛んになっており、放送局が多くの番組を自社サイトからの有料ビデオ・オンデ・マンドで公開。価格は、一般画質(300kbps)で約60円(6時間の間は何度でも利用可)、高画質(1Mbps)で約120円、ダウンロードで約180円(30日間再生可能)。
このサービスで年間15億ウォン(約1億8000万円)の収入になったという話もあるが、地上波の視聴率は急降下。国民的ドラマでも、2000年には視聴率60%を超えたものが、2006年には32.4%まで落ちている。
ネット配信が盛んになれば、地上波が先行放送されても、視聴率は低下する。視聴率がさがれば、CM収入に影響がでるが、ネット配信により宣伝広告が打てれば、新たな収入源にはなる。ただ、日本のようにCM収入が高い場合、これが吉と出るか、凶となるかはわからない。
NHKなどのように、もともとCM収入がない放送局にとっては、単純に収入増につながるだけに、このような問題はないはずだが。
放送局が、番組の時間を決めるのではなく、視聴者それぞれが好きな時間に見る方向に進んでいる。地上波ドラマの視聴率が低迷する現在、放送局は新たな収入源を求めており、ネット配信がその手段に成りうるか。今後の大きな課題になりそうだ。