野村ホールディングス<
8604>が29日、2008年4−6月期決算(米国会計基準)は、765億円の最終赤字と発表。
欧米金融市場の混乱から、金融保証会社(モノライン)の取引関連で、631億円の損失を処理したことが今回の赤字に大きく響く。
保有するモノライン全体に対する引当率は85%に上り、このほか、業績が悪化する投資先企業の評価を下げ、373億円の評価損を計上したことも減益へ。一方、株式公開、公募増資が減少しており、手数料収入も減っている。
モノラインは、証券化商品などの発行者から保証料を受け取り、証券化商品に組み込まれた住宅ローンなどの借り手が債務不履行、支払いが滞った場合、元金と利息の支払いを肩代わりする仕組み。
債務不履行になれば、保証人であるモノラインが肩代わりすることになる。そのために、発行者は保証料を支払う。
保証業務への信用を支えるのが、格付け会社によるモノラインへの高い格付けになる。
ところが、モノラインは、サブプライムローンを集めた証券化商品も保証対象としていた。サブプライムローンは、米国で行われた本来の基準では返済の見込みがないものに対して、年々住宅の価値が上がることを見越して行った低所得者向け住宅ローン。
住宅が上がることが前提という、本来信用力が低いものだが、高い格付けのモノラインが保証し、関連商品の格付けも上がり、市場が活性化してきた。
ただ、このような状況が続けば問題ないが、住宅バブルが崩壊、債務不履行が急増し、モノラインは元利払いの負担が増大。
モノラインは、保証料を証券化商品などの投資にも当てていたため、市場が混乱、証券化商品が下落したことで投資業務でも損失が拡大、業績が悪化。
サブプライムローンによるモノラインの業績悪化は、もちろん、日本国内だけの話ではなく、欧米も同様。特に、サブプライムローン本場の米国ではこれとは比較にならない損失がでている。