ソニー<
6758>は、製造コストの安い新しいタイプのシリコンを使わない太陽電池を開発。半導体技術の代わりに印刷技術の応用で作れるため、製造費が現在のシリコン型の1/5〜1/10になる。
開発したのは色素増感太陽電池。今年の春に、スイスの研究者が持っていた基本特許が切れたことから、国内外で研究が進んでいる。
次世代太陽電池の最有力候補と言われる色素増感太陽電池は、光が当たると色素が励起(れいき エネルギーが高い状態)となり電子を放出。その電子を酸化チタンにより外部に流す。
色素増感型太陽電池の大きな利点は、これまで太陽電池の原材料だったシリコンを使用しない点。現在、半導体、太陽電池市場の活況により、原材料であるシリコンの取引価格は上昇、今後も続くと見られている。原料のコスト面だけではなく、構造面から見ても、単純なため大幅なコスト削減が可能。
シリコンを利用した太陽電池との違いは、色や形状の自由度が高い点。これまでのような色が黒く、形は四角というものではなく、三原色を使い、三角でも丸でも自由な形が可能。ただ、現段階では、シリコン型の方が、光により発生する電力が高い。シリコン型で、最も光電変換効率が高いものは20%を超えるが、色素増感型は10%前後と差がある。
しかし、色素増感型は量産しやすく安価で製造できること、現在、研究が盛んに行われていることを考慮すれば、光電効率の差は、普及に対し大きな障害とはならないと見られ、主流となる可能性がある。
需要増による原材料の高騰は、どの分野でも起こっており、すべてが値上がりしている。このような状況の中、太陽光により多くの電力が安価に得られるとしたら、コスト削減の要因となる大きな希望となるだけに大いに期待できる。
ソニーが新技術を背景に太陽電池事業に参入するかどうかは未定だが、クリーンエネルギーへの社会的な期待が大きいだけに、その可能性は十分ありそうだ。