インターネットショッピングモール大手の楽天<
4755>は19日、TBS<
9401>への出資比率を20%強まで引き上げ、持ち分法適用会社にする意向を同社に伝えたと発表。楽天の三木谷浩史社長らを社外取締役に選任する株主提案も表明。これに対し、TBSは、不快感を表している。
楽天は、TBSは2月末に新たな買収防衛策を導入に反発しており、防衛策が発動する20%超の株式取得で揺さぶりをかける狙いがあるとみられている。
市場外の相対取引でTBSの発行株式の0.79%にあたる約150万株を追加取得、グループの出資比率を従来の19.07%から19.86%に引き上げた。追加取得額は、およそ57億円。
楽天側は、TBSに対しさらなる追加取得の意向を示し趣意書を提出。『20%を若干超す程度』と明記した。ただ、取得の時期、具体的な規模は不明。
今回の楽天の行動は、2005年末からTBSとの業務提携交渉が始まり、一向に進まないためいわゆる揺さぶりを掛けたものとみられている。業務提携の内容は、映像のネット配信などのメディア、そして、電子商取引に関する2つ。
単純に、村上ファンドやスティールのように買収し、売り飛ばすものとは根本的に違う。楽天が目指すものは、メディアミックス。当時としては斬新だったが、現在では真新しい感じがなく、出遅れ感もある。
現在のところ、大きく買い増しし、買収に発展することはないものの、経営陣に有利な買収防衛策に対する問題点を浮き彫りにする切っ掛けになりそうだ。
実際に買収防衛策が発動すれば、株主に対し、改善の余地が生まれ難い環境であることが露呈することになる。業務提携を唱える楽天に対し、敵対的買収と決め付けることで買い増しを許さないことになるからだ。
株主は、その企業のオーナーだ。企業に提案し、改善することで利益を得る。その権利の強さは、発行株式の比率と比例する。
大株主が生まれない環境は、変化しない企業と見られても仕方がない。業績が上がり、未来への展望がなければ、魅力的な株にはならず、持ち続ける意欲は低下する。
さて、今回の楽天の『揺さぶり』は、どのような効果を与えるのだろうか。